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……もうヤダ。
まともに相手したくない。
「他に用がないならもう帰ってよ。明日は大切な日なんだ」
「……はいはい。邪魔者は退散しますよ」
ふて腐れたように口を尖らせ、おばあちゃんは僕をチラ見する。
「……止めて欲しいって顔してるけど、今日の僕は優しくないから止めないよ」
「チッ」
でた。
舌打ち。
おばあちゃんの舌打ちにも慣れたもんだ。
「もう寝るからね。おやすみ!!」
ベッドに潜り、布団を頭まですっぽりかぶった。
「……太郎?もう寝たのかい?」
その間わずか14秒。
14秒で寝れるわけないでしょ。
僕をのび太くん扱いしないでほしい。
間違いなく彼より繊細なピュアハートだ。
「何?起きてるよ」
無視することはできなくて、ゆっくり体を起こす。
「明日、予期せぬ出会いがあるよ」
「予期せぬ出会い!?」
急に予言めいたことを言われても、困るってもんだ。
「とりあえず伝えたからね。おじいさんに伝えてくるよう頼まれたんだよ。たしかに言ったからね。じゃ!!」
「ちょっっ!!」
急いでベッドから飛び降りたけれど、すでに遅かった。
おばあちゃんの姿は、もうそこになかった。
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