10973人が本棚に入れています
本棚に追加
見なくてもわかる。
僕の家族は3人だ。
母さんと僕がここにいるわけだから、残りはひとり。
「なんだよ父さん。別にひとつくらい食べたっていいでしょ!?」
うん。
やっぱり父さんだ。
「一さん、まだたくさんあるんだし、太郎にも食べさせてあげなきゃダメよ」
「ハニーがそう言うなら……」
父さんは唇を尖らせ、ちょっぴりいじける。
……いい歳をしたオッサンのぶりっ子なんて、正直いってイタイ。
イタすぎる!!
だけど父さんは気にする様子もなく、汗を拭いたタオルを僕の首にかける。
「それ、洗濯機入れとけよ」
……て、僕はパシリか。
父さんのこの性格は、間違いなくおばあちゃん似だ。
僕はこうならないようにしたい。
反面教師ってやつだ。
「ハニーの作る朝食は最高だなー!!今日も仕事頑張っちゃう!!」
はいはい。
勝手に頑張ってください。
父さんが母さん一筋なのは嬉しいことだけど、僕にももう少し優しくして欲しい。
.
最初のコメントを投稿しよう!