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父さんはニヤニヤ笑いながら、箸で僕の頬をつつく。
「デートかよ。デートすんのかよ。その顔で」
いや。
顔は関係ないよね。
しかもこの顔に生まれたのは、少なからず父さんの遺伝子のせいだ。
自分だってたいした顔していないくせに。
「ていうか、箸でつつくのやめてよね!!それは食べ物をつかむものであって、僕をつつくためのものじゃない!!」
ビシッと言ってやった。
「うぜーうぜー。ま、フラれないようにせいぜい頑張れよ」
僕をイジるのに飽きたのか、父さんは早々席を立つ。
「ほんとマイペースな人ね」
母さんはそう言って愛おしそうに父さんの背中を見つめる。
……はい。
ここにもいました、バカップル……じゃなくて、バカ夫婦。
「ごちそうさまでした」
これから土俵に立ってもおかしくないくらい出っ張ったお腹をさすり、僕は静かにその場を去った。
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