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「一緒にみんなを待ちましょう」
真里ちゃんはそう言って僕と肩を並べる。
細くて、強く抱きしめたら折れてしまいそうな華奢な体が、こんなにも近くにある。
それだけでこんなにドキドキしてしまうのに、今日1日ずっと一緒に過ごすなんて、心臓がもつか不安だ。
「今日は誘ってもらえて本当に嬉しかったんだよ。太郎くん、なかなか連絡くれないから……」
どこか躊躇いながら、彼女は寂しそうに目を伏せる。
「そっそんな。僕なんかが真里ちゃんに連絡していいのかな、って思ったら、なかなかLINEもメールもできなくて……」
「もっと、気楽に連絡して欲しいな。ていうあたしも、勇気がなくて自分から連絡できなかったんだけどね」
ふふふ、と彼女が柔らかく笑うから。
僕もふふふ、と笑ってみせた。
さすがに僕のふふふは不気味だ。
いつも通りに笑えば良かった。
「太郎くん笑い方変だよ」
そう言って真里ちゃんが笑ってくれたから、
「そうだね。ふふっ。ふふふっ」
もっと笑って欲しくて、僕はしばらくふふふ笑いを続けた。
こんなことしか、僕には出来ないのだから。
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