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まずタンクトップから?
いや。あの脇毛が先か?
そもそも脇毛ってあんなに長いもの?
僕はこっそり自分の脇毛をのぞき見た。
……短い。そして薄い。
僕の脇毛が伐採されかけている森林と例えるなら、岩ちゃんのそれは、誰も踏み入れたことのないジャングルのようだった。
……て、脇毛の話なんてどうだっていい。
「ま、とりあえず3人でみんなを待とうぜ!!」
僕らの気持ちなんて微塵も考えることなく、岩ちゃんは強引にふたりの間に割って入った。
「ちょ!!わざわざそこに入らなくてもいいでしょ!?」
これにはさすがの僕も我慢ならない。
真里ちゃんの隣を譲る気はないのだ。
「ウホー!!ヤキモチさいこー!!」
「岩ちゃん!!やめてよ!!」
ヤキモチ、ヤキモチと大きな声で大騒ぎ。
たしかにこれはジェラシーだけど、こんなふうに真里ちゃんの前で言われたくない。
きっと真里ちゃんだって嫌な気持ちになる。
……。
う、嘘だ。
ほんのり頬を赤らめて、真里ちゃんが僕の隣に移動してきた。
「太郎くんの隣がいいから」と、小さな口が動く。
と……ときめきメモリアル!!
ときめきが止まらない。
ノンストップ、ときめき!!
「岩ちゃん、ナイスファイト!!」
岩ちゃんの耳元でこっそり囁いた。
結局、岩ちゃんのよくわからない行動のおかげで、僕は真里ちゃんから嬉しい言葉を貰った。
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