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いや。インチキと言い切ってはダメだ。
何事も先入観で決めつけるのはよくない。
曇った目で見てはいけないと、母さんにいつも言われている。
それに、もしかしたら物凄い効果があるかもしれない。
「それ、効果あるの?」
僕とユマさんの会話を聞いていた真里ちゃんが、恐る恐る訊いた。
「うん。僕も気になる」
ユマさんは頬を赤らめると
「ちょーモテモテなの」
と言いきった。
「え!?それホント!?」
それが事実なら、僕も買いたい。
「どれくらいモテるの?色んな人に告白されたりするの?」
真里ちゃんはあくまでも冷静だ。
「やだあ。強からモテモテって意味よ。私、強以外興味ないし」
……あ、そうですか。
そういう意味ですか。
「まあ、そうだよね」
ちょっぴり期待した僕が馬鹿だった。
そんなモテモテ香水が本当に存在するなら、今頃この世にモテモテ人間が溢れているはずだ。
「そうだよ。そんなにうまい話はないよ。ね、太郎くん」
真里ちゃんが僕の肩をポンと叩いた。
僕があまりにもユマさんの話に食いついていたからか、彼女は憐れむような目で僕を見つめた。
「ドンマイだよ、太郎くん」
ああ。
穴があったら入りたい。
僕は真里ちゃんにモテたいだけなのに。
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