10973人が本棚に入れています
本棚に追加
さらに10分後、ビシッとスーツを着た太陽が現れた。
ブランド物のスカーフが首を飾り、そこにいるだけで猛烈に目を引く。
「死神、カッコつけすぎじゃねえ?」
よせばいいのに、岩ちゃんは早速太陽に絡む。
「……別にカッコつけてるわけじゃないよ。スーツって制服みたいで落ち着くんだよね」
なるほど。
言われてみるとそうかもしれない。
サラリーマンにとってスーツは制服みたいなものだ。
……て、太陽はいつからサラリーマンになったんだ。
「太陽くん、スーツがすごく似合うね!!格好いいよ」
真里ちゃんが弾んだ声で言った。
カッコイイ。
そうか。そうだよね。
やっぱり真里ちゃんは、太陽みたいなイケメンがいいんだろうな。
田中くんもイケメンだったし。
すぐ卑屈になる僕。
我ながら嫌な性格だ。
「ありがとう。真里ちゃんは今日も可愛いね」
太陽はおはようと挨拶するのと同じように、サラリとそんな台詞を言う。
僕が言いたいことを、いとも簡単に言ってしまう太陽。
そんな太陽を格好いいと褒める真里ちゃん。
悔しいけれど、ふたりは絵になるほどお似合いだ。
そこに並んでいるだけで、ふたりだけが浮かび上がっているように見える。
.
最初のコメントを投稿しよう!