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「お待たせしました」
ハッキリとしたよく通る声だった。
声同様、顔立ちもハッキリしている。
「紹介するね。彼女は芦沢華さん。高校は違うけど、仲良しのお友達なの」
華さんと呼ばれた彼女は綺麗な顔をくしゃりとさせ、親しみやすい笑みを浮かべた。
「はじめまして。真里から皆さんのことは聞いてます。遅れちゃってごめんなさい」
ペこりと頭を下げる彼女の髪から、シャンプーの香りがした。
やっぱり女の子ってイイ。変な香水を振り撒くよりも、こういったナチュラルな香りのほうがグッとくる。
ユマさん、ごめんなさい。
「いや、全然遅れてないよ。むしろ僕たちが勝手に早く来ているだけだから」
太陽がもっともなことを言った。
間違いない。その通りだ。
待ち合わせ時間まであと15分はある。
華さんだって一般的には充分早く来たと言える。
「じゃ、とりあえず簡単に自己紹介ね」
ユマさんがハキハキとした口調でテキパキと僕らの紹介をした。
ちなみに僕の紹介は『ただのデブ、太郎くん』だった。
なんだろう。
この扱いは。
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