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でも、まあいいとしよう。今日は真里ちゃんがいる。こんなことで不機嫌になるような小さい男だと思われたくない。
真里ちゃんと遊園地デートが一番の目的だけど、今日の僕にはもうひとつ目的がある。
それは、
太陽に恋をさせること。
恋は無理にさせるものじゃないってことくらい、わかってる。
だけど、真里ちゃんが連れて来てくれた華さんは誰がどう見ても綺麗な女の子で、彼女とならさすがの太陽も恋ができるんじゃないかと、淡い期待を抱いている。
華さんと太陽がくっついてくれたら嬉しい。
ひいき目なしにして見ても、太陽と華さんは美男美女でお似合いだ。
太陽が事前に全員分のチケットを用意していたおかげで、チケット売り場で並ぶことなくすんなりと入場ゲートを通過。
こういうところも、太陽はすごく大人でスマートだ。
太陽は間違いなくステメンだ、ステメン(素敵なメンズ)。
僕もいつかなりたいな。ステメン。
「太郎くん、みんないっちゃうよ」
「ああ!!ごめんね」
今は太陽に憧れている場合じゃない。
真里ちゃんとの時間を楽しまなければ損だ。
僕の隣には真里ちゃんがいて、その前を岩ちゃんとユマさんがイチャイチャしながら歩く。
岩ちゃんの黒くて太い腕がユマさんの腰をがっしり抱いている。
あんなに寄り添っていて、歩きにくくないのか疑問だ。
一番後ろを歩くのは太陽と華さん。
初対面だというのに、ふたりは顔を寄せ合って笑いながら歩いている。
よし。
とりあえず色んなことがうまくいっている。
あまりに物事が順調過ぎて、小さくガッツポーズをしてしまった。
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