決戦は土曜日

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「岩ちゃんがいるってことは、うちの太郎もいるんだろ!?ったく、何隠れてんだよ」 岩ちゃんよりも乱暴に人を掻き分けながら、その人は僕に向かって豪快に手を振った。 「や……やめてくれよ!!」 みんなが見ている。 真里ちゃんが、見ているんだ。 「太郎くん……。まさか……」 真里ちゃんが僕と、堂々と歩いてくる中年のおじさんを見比べる。 「恥ずかしいから大きな声を出さないで!!」 僕は真っ赤な顔で怒鳴る。 「お願いだよ!!……父さん!!」 父さん、と言った瞬間、突き刺さるようにたくさんの視線が僕に向けられたのがわかった。 そしてどこからともなく聞こえてくる。よく言われる言葉たち。 似てないね。 ていうか、息子デブじゃね? うわっ。息子、残念。 だから嫌なんだ。 だから、知られたくなかったんだ。 .
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