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嵐が去ったように、静かになった。
ホッとしたような、寂しいような、不思議な気持ちだ。
父さんはそこにいるだけで周りを明るくする。
父さんみたいな人をスター性がある人間と呼ぶんだと思う。
今でこそ日本一の名脇役だと言われているけど、以前はドラマや映画で主役のオファーがきていた。
でも敢えてそれを断り続けたのだと、母さんから聞いた。
「どうして?」と訊いた僕に、「いつかわかる日がくるわ」と答えた母さん。
今のところ、その答えは出ていない。
いつか僕にもわかる日がくるのかな。
……なんて、ひとりで感慨にひたっている僕。
「タロちゃんが羨ましい。僕もあんな父親が欲しかったな」
「え!?」
驚いて横を向くと、眩しいものを見るように父さんの居なくなった方向を見つめる太陽がいた。
一体、父さんのどこが魅力的に映ったんだろう。
「ホント、素敵なお父さんだよね!!」
なぜか真里ちゃんも大きく頷く。
「ねー!!なんか土方歳三と近藤勇を足して2で割った感じで、カッコイイ!!」
華さんが何やら興奮気味に、聞き覚えのある名前を出した。
土方歳三……近藤勇……。
新撰組の副長と局長だったような気がする。
授業で聞いたことがある。僕はまったく詳しくないけれど。
「華ちゃん、新撰組が大好きなんだよ」
華さんの代わりに真里ちゃんが説明してくれた。
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