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もう出ない。
何も出ない。
僕の胃の内容物は容赦なく地面に叩きつけられ、無残な姿となった。
うん。
要するに吐いたってこと。
無理して乗った大嫌いなジェットコースター。
僕の胃をこれでもかと掻き回した。
その結果がこれだ。
「太郎くん大丈夫?」
真里ちゃんが真っ青な僕の顔を覗き込みながら、優しく背中をさすってくれている。
「ごめ……ん。こんなオェ~~」
吐き気が止まらない。
「オイ!お前マジ汚ねえな。ゲロなんて飲みこんじまえよ。できるよ、お前なら」
いや、できない。
そんな無茶ぶりいらないよ。
「みんな……ごめん……ね」
息苦しい。目から涙が止まらない。視界が霞む。
こんな情けない姿、真里ちゃんに見せたくなかった。
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