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誰にも目撃されることなく廊下を歩き、何とか階段のところまでやって来た。
とりあえず脱出に成功した。
だけど、僕の心はまったく落ち着いてくれない。
見て見ぬふりをすることが真里ちゃんの幸せになるのか、それとも勇気を出して田中くんに注意すべきなのか、正解がわからない。
生徒会室にいたのが田中くんじゃなければ、僕は今日のことは忘れてあげられる。
でも
あれは、田中くんだった。
真里ちゃんの彼氏の、田中くんだった。
階段の踊り場でうろうろしていると、何やら足音が聞こえてきた。
ひとり……ではない。
大人数だ。
「つーかさ、あいつ、マジうざくね?」
「うぜー!!」
やばい。
やばすぎる。
これは、間違いなく、ヤンキーたちの声だ!!
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