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動悸がする。
ついでに、息切れも。
誰か僕に救心(薬)をください。
完全に挙動不審になり目を泳がせていると、ヤンキーのリーダーが言った。
「ナイスファイト!!」
びしっと親指を立てている。
その親指のあまりの短さに驚いた。
指を詰めた……なんてわけではなく、最初から短いのだ。
それにしても
何に対してファイトなんだ!?
僕がトイレから生還したことなのか。
読めない。
彼らの思考回路がまったくもってわからない。
続けざまに残りのふたりのヤンキーも「ナイスファイト」と親指を立てる。
なんだか今にも泣きだしそうな顔をしている。
僕は戦場から生きて返ってきた兵隊の気分だった。
彼らは細い目をキラキラさせ、何かを待っている。
これは。
間違いなく、僕もやるべきだ。
彼らはそれを待っているんだ。
「ナ……ナイス、ファイト」
反り返るくらい親指を立て、彼らに向けてニッと笑って見せた。
ヤンキートリオは静かに頷き、満足したのかあっさりトイレの中に消えていく。
彼らは一体何者だ。
疑問だけが残った。
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