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どれくらいそうしていただろう。
時間にするとたった数分のこと。
だけど僕には、その時間か何倍にも何十倍にも長く感じていた。
真里ちゃんは僕を責めるわけでも怒るわけでもなく、ただ黙ったまま哀しそうにうつむくだけ。
……どうしよう。
今、真里ちゃんを困らせて悲しませているのは僕自身で、胸が痛くなる。
大好きな真里ちゃんに、こんな辛そうな顔をさせたいわけじゃないんだ。
真里ちゃんの鞄につけられたキャラクターの人形が揺れる。
小さなクマの人形が僕をじーっと見ている。
ダメだ。
もう、限界。
「……あの、その。ま、真里ちゃん」
僕はゆっくり真里ちゃんに歩み寄った。
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