ふたつめの飴

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気づけば頭の痛みは消え、そのかわりにポコンと大きなタンコブができた。 それだけで済んで本当に良かった。 打ち所が悪かったら、今頃おばあちゃんの隣にいたかもしれないんだ。 ……ますます、愉快なんかじゃない。 僕が何も答えないことに痺れをきらしたのか、おばあちゃんは“愉快”な部分を教えてくれた。 「田中の落ちるときのあの顔、傑作だったわね」 田中……て。 いつの間に呼び捨て。 「僕の位置からじゃ田中くんの表情まではわからなかったよ」 これは事実だ。 田中くんの顔を見ている余裕なんて、あの時の僕にはなかった。 .
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