ふたつめの飴

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チッ、と大きな舌打ちが聞こえた。 「え?今のおばあちゃん?」 この部屋には僕とおばあちゃんしかいない。 舌打ちをしたのは僕ではない。 ということは、どう考えてもおばあちゃんだ。 だけどおばあちゃんは素知らぬ顔で「わたしじゃないねぇ」なんて言う。 女のひとって怖い。 そんな僕を無視して、おばあちゃんは続ける。 「田中が足を滑らせたとき、太郎は奴の足元を見たのかい?」 「足元?」 あの場面を思い出す。 田中くんは間違いなく、 バナナの皮を踏んだ。 あるはずのない、バナナの皮……。 まさか!? 「あれ、おばあちゃんの仕業なの!?」 あの時バナナの皮を置き、意図的に田中くんを滑らせた張本人は、おばあちゃんだったのだ。 「やっと気づいたのかい。鈍感な子だねぇ」 ひっひっひ、と引き笑いをしながら、おばあちゃんは楽しそうに笑った。 .
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