ふたつめの飴

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使用済爪楊枝を捨てさせるなんて有り得ない。 一瞬イラッとした。 だけど怒っちゃいけないよね。 お年寄りは敬いなさいって、母さんによく言われている。 僕は爪楊枝をごみ箱に落とすと、得意げに鼻を膨らますおばあちゃんを見た。 「太郎は本当に優しい子だね」 急に何だ。 僕は優しくされるのに慣れてない。 「そんな優しい太郎に、ひとつだけいいことを教えてあげよう」 「いいこと?」 何だろう。 ドキドキする。 「オキマリちゃんは太郎の姿が変わる前に眠ってしまったから、本当の姿を見てはいないよ」 「ホントに!?」 跳び上がってしまった。 真里ちゃんは僕の姿に気づいていない。 ……良かった。 本当に良かった。 .
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