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使用済爪楊枝を捨てさせるなんて有り得ない。
一瞬イラッとした。
だけど怒っちゃいけないよね。
お年寄りは敬いなさいって、母さんによく言われている。
僕は爪楊枝をごみ箱に落とすと、得意げに鼻を膨らますおばあちゃんを見た。
「太郎は本当に優しい子だね」
急に何だ。
僕は優しくされるのに慣れてない。
「そんな優しい太郎に、ひとつだけいいことを教えてあげよう」
「いいこと?」
何だろう。
ドキドキする。
「オキマリちゃんは太郎の姿が変わる前に眠ってしまったから、本当の姿を見てはいないよ」
「ホントに!?」
跳び上がってしまった。
真里ちゃんは僕の姿に気づいていない。
……良かった。
本当に良かった。
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