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「父さんのこと思い出せないくせに、なんも覚えてないくせに帰ってきたんだね。父さんだけじゃない、あたしや母さんのことだって何も覚えてないくせに。そんなんでよく帰ってこれたね。」
「・・・」
僕はなにも応えない。
だって事実だから。
すべて本当のことだから。
「あたしは父さんが好きだった。だから死んじゃってすごく悲しい。母さんのことだって同じくらい好き。いなくなってほしくない。でも、でも兄貴は・・・・・・・・
誰が死んでも悲しめないよね
そんな兄貴があたしは小さい頃からだいだいだいだいだい大嫌いだったよ。」
「・・・そうか」
「そうだよ」
「大丈夫だよ、もし俺が死んだときは母さんやお前が知らない場所で一生俺を思い出さないくらいショボい死に方であの世にララバイしてやるよ」
「よろしく」
部屋を出る僕。
振り返って一言。
「悪かったな七味」
「七視よ、あたしは香辛料か」
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