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【6月8日(火)午前8時30分】
朝礼時間、七海は表情を引き締めて教室に入り教室内を一周見渡した。
1人登校してない。風邪、病気で休むという連絡は受けていない。
七海は穏やかさを失い昨日貰ったスケジュール帳を出席簿に挟んだ。
本当は「使ってるよ」ってみんなに自慢げに見せびらかせるつもりだったのに、それどころではなくなった。
「宮田君は遅刻かな?誰か知ってる人いないかな?」
数人が首を左右に振るだけだ。
「ごめん、ちょっと職員室に忘れ物したから取りに行ってくるね」
七海はそう言って血相を変え職員室へ急いで向かった。せせら笑う生徒達。不敵な笑みを浮かべる楓。
七海は職員室に入るなり、登校してない宮田の自宅に電話を掛けた。
両親からはいつもより少し早めだったが、学校に向かったと告げられる。
携帯を持ってるか確認したら、持たせているというので番号を聞いて、教えてもらった番号に電話をかけた。
──プルルプルル
「……えっ!?」
近くで聞き覚えのない携帯の着信音が聞こえる。半径50センチメートル以内だ。
七海は不安げに視線を泳がせる。自分の机に視線を向け、ある一点、引き出しに焦点を絞る。
恐る恐る自分の引き出しを開けると、ぽつんと置かれている一台の携帯。
その携帯のディスプレイに表示されている番号は、ここの(学校)番号を示していた。
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