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扉の中へと飛び込んだ私は、そのまま奥へと走る。
天井にくっ付きそうな位大きな冷凍室を横切って、元来た道へと走った。
扉は開いたままだ。
懐中電灯の灯りを頼りに、ひたすら扉を目指すと、何かが見えたような気がした。
バックヤードの棚から、ヒタヒタと音が聞こえる。
水道の蛇口を、少しだけ閉め忘れた時に漏れる音に似ていた。
「……」
見たくない。
イヤだ。
動かさないで。
心の叫びも虚しく、震える手が灯りを向ける。
そこにあったのは、両目を抉られた生首だった。
頭の天辺から顎まで突き抜けたナイフから、血が滴り落ちて行く。
「黒田く……」
血で汚れてしまった顔は、まるで別人のよう。
名前を呼ぼうとして、私は懐中電灯を取り落とした。
激しい嘔吐感に見舞われて、彼に背を向け胃の中の物を吐き出す。
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