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携帯電話のアンテナは圏外になっていた。
「どうやら、電波障害を起こしているようですね」
冷静過ぎるその声に、僕は戸惑いを感じる。
「響……聞いてもいいかい?」
携帯電話から視線を外して、槌谷は僕に視線を向けた。
「何でしょうか?」
うっすらと笑みを浮かべて、槌谷は何事もなかったかのように問い返して来る。
「君は、こうなる事を予測していたのかい?」
僕の言葉を聞いて、日向が身を乗り出した。
「何だって!?」
「最近流行しているシリアル・キラーの話題はどうでしょう?知っていますか?」
全く関係のない話題を振られて、日向は目を丸くする。
「県内で多発している事件だろう?肝試し中に神隠しが発生し、何日か経ってから切り刻まれた死体が……」
言いかけて、僕は槌谷を見詰めた。
「最初に発見した黒田君の死体は、私と日向君が確認しました」
槌谷に言われて、僕はそれを思い出す。
頭部のないバラバラ殺人。
「まさか……そんな……」
顔から血の気が引いて行くのが分かる。
「冷凍室にあった死体は、全て繋ぎ合わされていました。頭部・右手・左手・右足首・左足首・心臓を除いて」
槌谷に言われて、僕ははっと息を吐く。
頭がどうにかなりそうだ。
「何だって!?」
日向の声に、槌谷は眉根を寄せた。
「何もないって言ったじゃないか!?死体って、何の事だよ!?」
日向に責められて、槌谷はふうっと溜め息を吐く。
「言わない方がいいと判断しました。パーツは6つ。後5人は殺される。そう言われて平気な人はいないでしょう?」
やけに冷めた槌谷の声に、僕は押し黙った。
聞いていた玉山が嗚咽を漏らす。
「それに、気になる事も増えていますしね」
槌谷に言われて、僕はちらりと玉山を見た。
日向が背中を摩っている。
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