BOX

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大学生と言うものは、忙しい人は忙しいが、暇な人は暇だ。 学びたい人には時間が足りず、単位だけを取りたい人は、割と時間を持て余す。 偶々趣味的なサークルで知り合った6人が暇潰しに選んだのが、肝試しだったのだ。 オカルト研究等と言うサークルだからか、在籍者はいる物の、メンバーが全員集まる事は稀な上に、ほとんど活動すらしていない。 3ヶ月毎に発行しているサークル誌を作る為に、心霊スポット巡りをする事になったのだ。 「ちょっと、押さないでよ」 「いえ、私は押していません」 後ろの声に振り返れば、苛々とした様子の田浦梢(たうらこずえ)と、最後尾で首を傾げる槌谷響(つちやひびき)が視界に入る。 「梢ちゃん……こんなに離れてたら、槌谷君は押せないよ」 田浦梢と手を繋いでいる玉山美香(たまやまみか)が、消え入りそうな声でそう言う。 「じゃあ、今のは何なのよ」 顔をしかめる梢と、小さくなる美香。 「分かんない、けど……」 「……仕方ないでしょう、君の腰には子供がすがり付いて……」 「ぎゃあ~~~っ!!」 美香の言葉尻を取った槌谷が、はっきりとそう言った瞬間、梢は悲鳴を上げた。 「またからかって……」 パシャッ。 悲鳴を上げてパニックに陥る梢を被写体にして、槌谷はニヤリと笑う。 「日向君、いい写真が撮れましたよ」 にこやかに微笑みながら、槌谷はデジカメのディスプレイを俺に見せた。 確かに、梢の腰には子供が……。 「うわぁっ!!」 驚いた俺は、デジカメを槌谷に押し付けた。 コイツは心霊写真専門のカメラマンだ。 コイツが撮った写真には、必ずと言っていい程、霊が写り込んでいる。
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