呪歌と泡恋

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お決まりのノックノイズが2回して、引き戸の扉がゆっくりと慎重に開く。 実際、そんな重たくねーはずなんだけどな、そのドア。 建て付け悪ぃせいでギイーって重苦しい音がすんの。 だから、なんか緊張する。 理由はそれだけじゃないけど。 扉が開くと同時に、暗がりの部屋に明かりの幅が広がっていく… それと一緒に人影が、おいらのいるベッドに近付いてくる。 誰が来るとかも、もう分かってんだけど…その眩しさに、つい身構えちまうんだよ。 だって、この部屋におれ以外のヤツが来るなんて、ぜってー良いことないんだもん。 暗くて、湿っぽくて、ベッドしか置かれてない部屋に遊びにくるヤツなんていねーしさ… 「碧蒼(アオ)、起きろよ。 旦那がお呼びだ」 ほらね?言った通り。 いつもの召集命令でしょ 「なーんだ、松兄ぃか …つまんないのぉ」 「俺以外に誰がお前ぇの部屋なんぞに来るかってんだ」 皮肉を皮肉で帰してきた。 んだよ、もう。そんなに、おいらが扱いにくいって言いてーの? 「だったらこなきゃいーじゃん。」 「だから、こちとら頼まれて来てやってんの。 ほら、いつまでも寝てねーでさっさと起きやがれ。」 松兄ぃが無理矢理おいらから布団を剥ぎ取ろうとする。 「んぅ~、やだぁ。 おれぜったい行かないからねっ」 負けじとおいらも布団を抱え込んで抵抗する。 「駄々こねんなよ。 お前ぇいくつだと思ってんだ。」 「まだぁ16だもぉんっ。」 「世の16歳にそんな駄々っ子なんていねーのよ」 「だったら、こんな朝早くから働かされる16歳だっていないじゃんっ」 「朝早くって、お前ぇ今何時だと思ってんだ。 馬鹿なことばっか言ってっと犯すぞ?」 痺れを切らしたのか、今度は引っ張り合ってた布団の上からおいらに跨ってきた。 両肩を松兄ぃの腕で押さえつけられる。 .
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