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だから潜入捜査にもってこいってワケ、百発百中で仕留められっからさぁ…
こう見えてもエリート名乗らせてもらってんの。
4歳から一丁前に仕事してるし、
一応キャリア10年以上なんだから。
そのせいもあってか、最近では遊郭とかに派遣されて、えれーことになって…
ぶっちゃけ、殺し屋関係ねーじゃんとかっていう仕事も引き受けさせられて…
この歳にして色んな意味で経験豊富になっちまったけど……。
でもさ、松兄ぃ。
アンタが昔おれに言ってくれた話を信じて、このツライ仕事やってこれたんだよ?
人の命を奪う意味だって教えてくれたじゃん。
なのに、
おいらを淫夫扱いすんの?
「そんなこと言うんだったら本当に出てって。じゃないとおいら、何があっても仕事引き受けない」
向ける視線に鋭さと殺気が増す。おれだってな、凄みくらいは出せるようになったんだよ。
そうやって、こっちが必死で睨んでんのに、松兄ぃは口元をフって緩めて、おいらのおでこにちゅーしてきやがった。
「ふっ、可愛いな。
そんだけの面が出来んなら十分よ。悪かったな。ちと、からかい過ぎたか」
優しい目でそっと髪を撫で下ろしてくる。それがいちいち腹立っておもっきし手をはたき落としてやった。
「も、松兄ぃなんかヤダ。キライっ」
「よしよし、ごめんな?
お前ぇさんの苦労だけは誰よりも分かってるつもりだぜ?」
松兄ぃにしては優しい笑みで俺を抱き上げて背中を擦ってくる。
「ん…なんだよぉ、今更優しくしたって無駄だからな……」
「いいから、黙って抱かれとけよ」
耳元で松兄ぃの低い声がする。
あ、この感覚…
なんか懐かしいかも…すげぇ、落ち着く
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