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カツンカツンと乾いた靴の音が湿った空間に響き渡る……
豪勢に造られただだっ広い部屋…
向かい合わせに並ぶいっぱいの人…
そして、その奥のど真ん中に座ってる、いかにもマフィアのボスみてーのが旦那…
結局、おいらは旦那のいる大広間に連れて来られちまった。
ここ…イヤなんだよ…
なんか、いかにもアブナイ仕事してます的な…
黒いスーツ着たゴツくてデケェ奴らに周りを囲まれてるし……とにかく居心地が悪ぃーんだ……
松兄ぃは旦那の元まで来たところで足を止め、おいらをその場に降ろす。
「どうも、お待たせしました」
「遅かったじゃねーか。」
旦那がニヒルに笑いながらおれ達を見る。
見た目イカツイおっさんだけど、こっち業界じゃあ名が知れたお偉いさんらしい…
おいら、あんま詳しいことわかんねーけど、周りのヤツらの対応とか見てるとスゲーって分かるよ。
でも、一番分かりやすいのは松兄ぃが敬語使ってるってとこ。
この人もパシられてるクセに偉いヤツなんだよ。
こう言ったらまた、『誰のせいでパシられてっと思ってんだ』とかって言われそう。ふふ。
おいらと4つしか歳変わんないのに幹部みたいな存在なんだって。
「速かった方っすよ…これでも。」
松兄ぃがいかにも疲れる仕事任されましたよ、みたいな顔で言う。ちょっと、ヒドくない?
「まぁ、そうだな。コイツ呼び出すのにはお前ぐれーしか出来ねぇかんな」
「そろそろ解放されてーっすよ、コイツの飼育係。」
んだよ、その言い方。
おれ、動物じゃねーし。
「はは、まあまあ。こいつの面倒見れんのはお前だけだからよ、頑張ってくれや。」
だからさぁ~、なんでそんな…ひでぇ言い方しかできないワケ?
どいつもこいつも、おいらを厄介者にしやがって…
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