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目の前にあるのは、扉。
比較的に火の回りが少ない。
それも、時間の問題だが。
「…煙でやられている可能性は、あるな」
一刻を争うことには変わりない。
理緒は急いで扉を開く。
「…………ちっ。気配はあるが状況がわからない。どうなっている?」
理緒は強く舌打ちした。
──生きてはいるみたいですが、時間の問題ですね。多少煙を吸ったのでしょう。10歩ほど先で二人共、倒れています。
「そうか…」
理緒はすぐに二人に歩み寄ると両肩に担ぐようにして持ち上げた。
その時、ギシギシという音が辺りに響いた。
「まずいっ!!崩れるぞ!」
──ミリオンをお呼び下さい!
「わかった!」
『ミリオン!大いなる風によって、我が身を守る壁を!』
──おう!任しとけ!
応える声が頭に響く、少年の声。
そして、天井からバラバラと木片が落下する中をゴオゴオと強い風が巻き上がった。
まるで理緒の身を守るかのように、彼女の周りを取り巻く。
理緒はその部屋から出ると、出口に向かって全力疾走した。
もはや突進だ。
崩れかけた出口を強引に抜け出す。
その後、理緒は二人を亮亜に診させて治療を施すと、その場を去った。
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