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「やれやれ。世の中、計画通りにいかないものだな」
理緒はため息をつく。
「それは仕方の無いことです。とりあえず、何処かで夜を明かした方が良いのでは?」
「そうだな。中心地のカリスからも離れてしまったからな」
──近くにある林で夜を明かすのはどうでしょう?
直接頭に響く声。ユナだ。
「それがいいな。よし、近くに林はないか?」
「それなら、あそこに見えるが。そこで夜を明かすのかい?」
琅の言葉に理緒は頷いた。
しばらく探るように神経を集中させる。
「危険はないようだ。」
そう呟くと、真っ直ぐその林を目指した。
「さすが、理緒。木々のざわめきだけで場所を特定している」
琅はニヤリと口元を歪めた。
「お姉様にとって造作も無いことです」
亮亜は誇らしげに微笑む。
「ところでお兄様、少し疑問に思う事があるのですが…」
「何を?」
「どうしてお姉様は、ザルタに行くことにしたのでしょう?」
「あれ、聞いて無いのか?」
「何をですか?」
二人は林に向かいながら会話を続ける。
「最近、金狼の動きが気になり出したんだ。
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