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「父上、それは本当ですか!?」
「何か問題があるかね?」
「……どういうおつもりですか?」
アレスは、父王の問いを問いで返した。
「言っておるであろう。国民は皆思っているのだ。銀狐は本当に存在するのか?ただの言い伝えではないのか?とな」
「……確かに国民達はそう思っているでしょう。確かに我々も…。ですが、100年前の事件が証明しています」
─そう…100年前のあの日。アレスの祖父が少年の頃。
かつての王だった曾祖父が、腕の立つ暗殺集団を千夜狐山に向かわせた。
結果、山に入った者の死体が、麓の林に山積みされていたのだ。
翌年に曾祖父が亡くなり、若き祖父が王となった
その時の事件は、極秘とされ国民には知らされていない。
「だからこそ、私は銀狐に使者を出したのだ。銀狐の力量を知るためにな」
「………分かりました。選り抜きの者達を用意します」
「もう下がってよい」
アレスは礼をするとその場を去った。
長い廊下を歩きながら一人、物思いにふける。
かの銀狐は、どれだけの力を持っているのだろうか。
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