64人が本棚に入れています
本棚に追加
中心地カリスが近づくにつれて民家がどんどん増えてきた。
そんな折、理緒はハッと足を止めた。
それに気付いた二人も立ち止まる。
「どうしました?」
亮亜が気遣わしげに聞いた。
(ざわめき、煙の臭い、はぜる音。複数の足音、気配)
「火事か」
理緒の言葉に二人は耳を澄ます。
「…!確かに」
「こっちだ、行くぞ!」
理緒は言うが早いか、駆け出した。
「えっ!ちょっと待って下さい!いくら火事でも、あなたが行く必要なんか…っ…」
しかし、理緒は聞かずに行ってしまった。
「ああ…」
溜め息をつく亮亜に、琅はにやりと笑った。
「そういう人だよ…。昔から」
「…そうですね」
「さて、私達も追いますか」
琅は理緒の匂いを追って、走り出した。
亮亜も続く。
最初のコメントを投稿しよう!