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カランカラン…
今日も誰かがこの店のドアを開ける。
外は土砂降りなのか、スーツの肩を濡らせたサラリーマン風の男が慌てて入ってくる。
マスター「いらっしゃいませお客様。タオルをどうぞ。」
真ん中でわかれ、あご程まである前髪。
後は背中まである長い髪をゴムで縛っている。
美しくストレートな黒髪。
長い足には黒地のスラックス。
白いワイシャツを着こなすは太過ぎず、細過ぎずの上半身。
いかにもマスターといった格好だ。髪型以外は。
「あぁ、ありがとう。」
サラリーマン風の男は軽く会釈する。
マスター「佐藤様、あちらにおかけください。走って来られてお疲れでしょう。」
佐藤「自己紹介しましたっけ?それに走ってきたのはなぜわかったんです?」
不思議そうに佐藤は尋ねた。
マスター「そちらのバッグのタグ、T.SATOと書かれていますし、足の裾は泥が跳ねて汚れています。」
カウンターの椅子を引きつつ、説明する。
佐藤「へぇー。マスター、なんか探偵みたいだな。」
椅子に腰掛けながら関心したように相槌を打つ。
マスター「お気を悪くしましたら申し訳ございません。癖で観察してしまうのです。」
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