階段の章

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 私たちは早朝補習のため、高校へと登校していた。  この高校に入学して約一月。  現時点で進学を視野に入れている生徒は全員、早朝補習を受けなくてはならないのだ。  私はまだ何も決まっていない。  進学をしたいのか、就職をしたいのか。  そんなことすらも私は未だ決まっていない。  何も決まっていない私には、進学という道も選択肢に入っているわけで。  早朝補習に参加しなければならないのだった。  勉強はさほど好きではないし、朝にはとても弱い性質だ。  本来ならば嫌々になっている。  しかし実際のところ、私は嫌々でもない。  案外満更でもない気の持ちようなのだった。  それは綾と一緒だからだ。  中学からの大親友である綾とは、高校最初のクラス分けで離れてしまっていた。  私のクラスメートの中には誰一人知人はおらず、また私は友人を作ることが苦手であった。  まだクラスに馴染めないでいる私にとって、綾という唯一無二の親友と場所を同じくできるというだけで喜ばしかった。  更にどういうわけか、早朝補習の行われる特別教室での座席は綾の隣なのだ。  私にとって、これ以上ないくらい喜ばしい時間なのである。 .
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