渡廊下の章

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「……いや、聞いたことないな。そういう話には疎いほうだし」 「まあまあ、知らないならそれはそれでいいわよ。今から試すんだから!」  咲智が意気揚々と立ち上がる。  椅子が音を立てて倒れた。  誰から見てもわかるほどに楽しげだった。 「試すって、あれってただの作り話でしょ?」  優奈は呆れたように頬杖をつきながら言う。  全員、作業を再開する様子も帰ろうとする様子もないらしい。  もうすぐ暗くなってしまう。  なるべく早々に帰路につきたいものだが、どうやらそうはいかないようだ。 「なあ、それってどうやるんだよ?」  琢磨はいかにも興味津々といった風に身を乗り出している。 .
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