渡廊下の章

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 それで安堵することはない。  心臓が脈打つのが早い。  音が聞こえる。  それが耳障りに響く。  周囲を厳重に見渡しながら、一歩一歩を慎重に歩く。 ───ギシィ、ギシィ、  踏み締める一歩に合わせて、床が寂しく鳴く。 ───ギシィ、ギシィ、  不安を恐怖を焦りを煽るかのよう、鳴く。 『みぃつけたあー』  背後から突然声がかかった。 .
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