渡廊下の章

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 痛みを感じた。  胸の辺りに鋭い痛みを感じ、視線を向ける。  丁度、心臓の辺り。  黒の学ランを突き破って見える切っ先。  紅い液体が絡みついていて、同様の物がその周囲から溢れ出ている。  それが俺の血液だということ。  何か鋭利な物で俺が刺されたのだということ。  それらを理解するのに、時間はかかりはしなかった。  不思議なことに驚きはしなかった。  痛みはあるものの実感は湧かなかった。   .
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