調理室の章

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 何処からか甘い香りが漂ってくる。  独特な甘さが廊下に充満する。  家庭科の実習で菓子作りでもしているのだろう。  この廊下の突き当たりには調理室がある。  きっとそこだろう。 「いいよねー、調理実習」  美佳が羨ましげな声で言った。  私も同意見だった。 「だよねえ。一回くらいはやっておきたいよね」  高校に入ってからというものの、調理実習はしたことがない。  被服の実習だってない。  家庭科の授業はただの座学だ。 .
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