調理室の章

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 私達は大学進学を目的としたクラスにいる。  受験に必要な教科が主になっているため、実習という実習はない。  座学でないといえば、せいぜい体育と音楽くらいなものだ。 「楽しいと思うんだけどなあ」  叶わぬ願いを呟きながら、とぼとぼと歩く美佳。  その姿に私は微笑する。 「仕方ないものは仕方ない。早く行かないと授業遅れるよ」  美佳を急かして、私達は足早にそこから立ち去った。  暫く行けば、あの甘い香りはしなくなっていた。 .
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