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「うわあああ゙ぁああああおばけうわあああああ!!!!ごめんなさいごめんなさいごめんなさい来ないでうわあ゙ああああ!!!!!!!!」 「きゃああああああ!!!!って痛っ!!痛い痛い痛い!蹴らないでぇ!」 京は怯える。そして腹の上に乗っている何者かも怯える。 恐怖を排除するべく反射的に高く振り上げられた京の足は、何者かの後頭部を何度か直撃し…。 「わわわっ…!」 痛みから逃げようとしたソレはバランスを崩し、鈍い音と共にベッドから落下していった。 幸い床にはカーペットが敷かれており、それ程ダメージは高くないはずだ。 身を起こした京は立て掛けていた虫網を握り締め、涙を浮かべながら身構える。 …とそこへ、ハクが懐中電灯で部屋の中を照らした。 そこで漸く正体不明だった者の姿が明らかになる。 見るところそれは間違いなく男。 ジーンズだけを身に纏っている。 しかし背中から伸びた真っ黒な羽根と、赤い瞳の中で猫のように細くなった瞳孔が人間ではないことを知らせていた。 男は明らかに不機嫌を滲ませた表情で、床に尻餅をついたまま京を睨み付けている。 「あ!ハク!助けてくれよ、なんか変なものが窓から入っ……てコイツ…」 驚くヘタレ。 それは無理もない程に、目の前の男はあの本の内容にぴったり当てはまる姿をしていた。 「…あ、の………淫魔さんでございますでしょうか…?」 「そうだよぉっ!なんなの?折角アンタが期待してるみたいだから来てやったって言うのにさ。挨拶代わりに蹴られるってどういうこと!?」 しかし折角の登場だというのに、どうやらご機嫌斜めである。 「いや……スイマセン…」 素直に謝罪する京。 そこへ、空気と化していたハクが口を挟んだ。 「声のボリューム下げろ。二人共 つぶすぞ?」 途端に部屋は静まり返り、ハクが後ろ手にドアを閉める音だけが響く。
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