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「猫に憑かれるくらいなら悪霊に憑かれた方がマシだ…」 午前6時50分。 登校の準備を終えた京とハクはたまたま、というよりほぼ必然的に廊下で鉢合わせした澤井&柴原と食堂に来ていた。 2人は隣の部屋を使っているクラスメートだ。 そのため学年が変わってから比較的すぐに交友関係を結べることができ、1日3食あるうちの朝食と夕食は必ずと言っていいほど共に居ることが多い。 そんなメンバーで長テーブルを囲み談笑するのが日課である。 1、2、3年生を一度に収めるには少々狭いここ食堂は3年寮に一番近く設置されており、食事の時間になると酷く賑わう。 寮の部屋全てに小さな台所は設備されているが、あまり自分で料理をする者は居ないようだ。 カウンターに群がる他の生徒たちをよそに、京は最近お気に入りのサバ味噌煮定食を頬張る。 …朝食にしては少しボリュームがある気がするが。 「京はいちいち気にし過ぎなんだって!所詮夢の話だろ?」 「そういう澤井もこの前“夢にお化けでた”って1日中騒いでたじゃん?」 揚げ足を取る柴原に対して、澤井は睨みを効かせて隣に座る彼の足を踏む。 痛みに悶える隙を狙って柴原の目の前の皿に乗る唐揚げをさらっていったハクは、それを頬に詰め込み証拠隠滅を計りながら京の肩を掴みこちらを向かせた。 「今日の1限目、サボるから」 「なんで?」 「大人の事情があるの」 京介はどちらかと言えば勉強が出来ない方である。 故に授業中、クラスでいうと隣の席にあたるハクに補助をしてもらっているのだが今日はそれが出来なくなるという。 因みにハクがいない1限目とは京が一番苦手としている数学の授業だ。 これは是が非でも引き止めておきたいのだが…。 「っていう訳だから、これ俺の席まで運んでおいてね」 食堂についてから足元に置いていた毎日京が使っている紺色のスクールバッグ。 それと同じデザインながらも黒色のバッグが、ハクの手によって隣に並ばされていた。  
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