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しかも、非常に迷惑なタイプだったりする。
今もハクの方をチラッチラッと見ては、本に視線を戻して上がる口角を堪えきれずに非常に子どもには見せたくないような顔でニヤついている。
確実に妄想中だ。
それに気付いたハクがその表情に嫌悪しないはずもなく、5秒後には拳が京の頭を直撃することとなった。
* * *
「ハクぅ…俺さぁ…やっぱりさぁ………」
「うるっさい!!!さっさと寝ないと明日提出のお前の宿題がヤギの餌になると思え」
「なん…だと………」
午後11時35分。寮内は消灯の時間である。
3年寮長であるハクは見回りに行かなければならなく、暗闇の中片手に持った懐中電灯で自分の顔を真下からライトアップし、夜更かしを懇願する京を怒鳴り付けていた。
こんな時間帯に騒げば教師に説教される訳だが、例の通り罪は全て京に擦り付けるつもりだ。
「寝ろ」
「……はい…」
うなだれるようにして京が布団に入れば、納得したハクが部屋を出ていった。
そこで漸く京の作戦が開始する。
名付けるならば『淫魔を捕まえちゃおう大作戦』だ。
そして使うものは虫網。
窓の鍵を開けて布団を頭から被る。
淫魔が本当に存在するか否かなんてどうでもいいのだ。ただ子ども心を忘れずに、ひとときの時間だけでも精一杯はしゃぐのが京。
彼がアホなのだということを念頭から外してはならない。
尚且つ本人が気付いているのかどうかは不明であるが、虫網であくまでもヒトの形をしているものを捕まえることは出来ないだろう。
こうして、京の短い戦いが始まった。
勿論睡魔との戦いである。
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