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そして、その戦いが開幕した5分後。
「……」
10分後。
「…………」
15分後。
「…………………」
睡魔に対しては今のところ優勢である。
しかしどれだけ待っても肝心の淫魔が現れてくれない。
いい加減に痺れを切らした京は、八つ当たりとばかりに虫網をハクのベッドに向け投げつけた。
……が、すぐに取りに行く。
勿論怒られるのが怖いからだ。
そんなヘタレさを証明する行為を飽きもせず3回程繰り返した辺りで、京は虫網を壁に立て掛けて布団に潜った。
本格的にふて寝をするらしい。
まあその方がハクにとっては好都合なわけだが……その時、京の頭上の窓が音を立てた。
最早淫魔の存在が頭から消えかけている京にとっては、それが幽霊の仕業を連想させる。
思わず身を固めたところで、ドサリと腹にのしかかる重たさ。
「……!!ぎゃぁああああああああああああぁあ!!!!!」
叫ぶヘタレ。
その声にいち早く反応したのは隣部屋の澤井達だった。
この時間帯は各自部屋のドアを施錠する決まりがある。
そして見回りに行っているであろうハクでないと、きっと今部屋に入ることは出来ない。
二人で相談した結果柴原が廊下に出てみると、丁度戻ってきたハクに鉢合わせた。
そして京がいる部屋のドアが開かれる。
「京っ、だいじょう─」
身を乗り出す柴原。
しかし、ドアはまたハクの手によって閉められてしまった。
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