散々な日

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なおも、おっさんの妄言は続く。 「貴様の考えてる死がどのようなものか分からんが、ある意味ではワシは既に死んでいるといえよう。」 わー、意味深な物言い。 ……それ、どこからの引用ですか? 「用がないなら邪魔だ。どけ。」 いい加減、俺もイラついてんだ。 怒声に近い声を出す。 「いいのか?こんな人のいる中で一人で大声出して。ワシは周りの者に見えてないぞ。」 ああ、ホントうざってえ。 黙って横を通り過ぎようとする。 しかし、またもや通らせないように邪魔をしてくる。 俺は思わず、突き飛ばす。 ――いや、結構重そうなので軽く押しのける程度だと思ってたのだが、予想以上に軽くかった。 おっさんは二、三メートル飛び、それどころか電柱をすり抜けた。
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