i×i＝-1

散々な日

「……ぐはあっ!!」

突然主人公が倒れる。
何時の間にか解放されているヒロインが抱きつき叫ぶ。

「もう俺はダメだ。…すま…ん……。」

何でだ！メンタル面弱っ!!

大体いつ傷なんて負ったんだ。さっきまで元気よく悪役フルボッコしてたじゃねーか。

そんないくつもの謎を秘めたまま彼は……死んだ。

劇場内ですすり泣きが聞こえる。いわゆる上げて落とす的なやつだったらしい。
どの道、面白くなかったけど。

周りの反応を見ようと首を動かさない程度に目線だけで探索していると隣のカップルが泣きながら寄り添っているのが見えた。

何でこんなんで泣けるんだよ。俺が変なのか？

……俺も大切な人とやらが出来たら退屈以外の感情を感じるのだろうか。

まあ、この映画は置いといて。

バッドエンド……というよりお涙頂戴的な下心が満載だった感が否めず憂鬱に浸りながら映画館をでる。

「あーあ。せっかくの日曜にこんな所来るんじゃなかった。」

なんとなく不愉快。人気だからって映画なんて見るんじゃなかった。

……所詮、誰かの為に命を懸けるのは虚像でのみに過ぎない。
現実でそんなことすんのはなにも知らない死にたがりのバカだけ。