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黒く巨大な神殿。
その中にある大きな広間の中に彼らは居た。
遠くにあるであろう壁は闇に覆われ、見ることが叶わぬ。
唯一見えるのは目の前にある、巨大な扉のみ。
「ローラン……行くのか?」
「……サザ、今までありがとう。
ユアのこと頼むよ」
赤髪で小柄な少年ローランは弱々しく微笑むと、親友である緑髪の青年サザに手を伸ばす。
「ああ、ユア様は命に変えても守る」
サザはその手をがっしりと握り、自分の魔力を流し込んだ。
そして、魔力を流し終えると、隣で見ていた二人のうち一人がおもむろに口を開く。
「全く、貴殿には敵わぬな……」
「ハク、僕の力で何年耐えれる?」
銀の長髪を腰まで垂らした男は、眼鏡の位置を直しながらそれに答える。
「よくて500年。だが、某の力を全て託せばあるいは……」
言いながらハクはローランの額に触れ魔力を流し込む。
「……ありがとう。グラン行くよ」
「おう!てめぇらの分も決めてやらぁ」
片目に眼帯を付け、がっしりとしたグランと呼ばれた男。
彼は大声を張り上げ斧を構えた。
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