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むかし むかし・・・
ロゼッタという国に二人のお姫様がいました。
姉のリラは いじわるでずる賢いため お城の兵士や召し使いたちからも嫌われていました。
一方、妹のミシェルは 心優しく思いやりがあるため 誰からも慕われていました。
そんなミシェルに やきもちをやいた リラは、ある日こう言いました。
「今夜は 隣国の王子様のお誕生日パーティーがあるわ。この国を代表して 姉である私が出席するから 妹のあなたは来なくていいわよ。」
その言葉にミシェルは小さくうなずきましたが、内心はこう思っていました。
「私だって 本当はパーティーに出たいわ。王子様にお会いしたいのに…。」
実はミシェルは王子様のことが好きだったのです。
それを知ってか知らずかリラはこう続けました。
「そうそう。確か倉庫のどこかに昨年のパーティーで着けたティアラがあるはずだから出発までに探しておいてちょうだい。いいわね!」
リラに何も言い返せないミシェルは仕方なく薄暗く気味の悪い倉庫に入っていきました。
「ああ… どうして私がこんなことを…」
そう思いながらもミシェルは姉・リラのためティアラを探しました。
しかし、どんなに探してもティアラはつかりません。
それもそのはず…
実は、ティアラはすでに姉・リラの手元にあったのです。
「ふふふ… 愚かなミシェル。いくら探しても見つかる訳ないのに…」
そう呟きながらニヤリと笑うリラ…。
そんなことも知らずにミシェルは あるはずもないティアラを必死で探しました。
その時です…
ガタガタ
不意にミシェルの後ろから 物音がしたので振り返ってみると そこには大きなネズミの姿がありました。
「キャーーーーー!!!」
大声で悲鳴を上げるミシェル。
その声にネズミも驚いたようで 一目散に逃げ出してしまいました。
ダダダダダ…
「…もう、何なの!? こんな所にいると 気がおかしくなりそうだわ!」
今にも泣き出しそうな声で叫ぶミシェル。
「………あら?」
その時、ミシェルは目の前に不思議なものが落ちていることに気が付きました。
「…さっきのネズミが落として行ったのかしら?」
そう思いながら ミシェルは その落っこちているものを拾いました。
「…鏡だわ。
何てキレイなのかしら。」
それは今までミシェルが見たこともないような美しい装飾が施された手鏡でした。
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