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そして、その夜、ミシェルは姉・リラとともに憧れの王子様の誕生日パーティーを心の底から楽しみました。
──帰りの馬車の中
「…お姉様。私、気が動転していて謝るのを忘れていたのですが大切なティアラを探し出せずに本当にすみませんでした…。」
ミシェルがリラに言いました。
「……ティアラ?
何を言ってるの?ティアラはいつも私が肌身離さず持っているじゃない。」
「……………!!」
その言葉にミシェルは改めて鏡の精霊に感謝しました。
静かに目を閉じ、喜びを噛みしめるミシェルに今度はリラが尋ねました。
「…ところで、あなた倉庫の中で鏡を片手に何やら呟いていたそうだけどそれは本当?」
「………えっ!」
思いもよらぬリラの言葉に一瞬戸惑ったミシェルでしたが、素直な性格の彼女は正直に答えました。
「………はい。
でも、どうしてそのことを…?」
明らかに動揺して慌てた様子を見せるミシェルにリラはこう言いました。
「そうなの…。メイドのメアリーがたまたま見かけたらしくてね。あなた、鏡を相手に一人で会話をするなんて本当に暗い子ね…」
しかし、リラは心の中でこう思っていました。
「……ミシェルめ、我が王家に伝わると言う魔法の鏡を見つけたんだわ!急にお父様があんなことを言い出すなんておかしいと思ったら… それにしてもただの言い伝えだと思っていた魔法の鏡が本当に存在したなんて!これを利用しない手はないわ…!」
不敵に微笑みながらミシェルを見つめるリラ。
その表情はまるで悪魔にでもとりつかれたかのように恐ろしいものでした。
──その日の真夜中
倉庫の中に小さな明かりがありました。
そう、ミシェルの姉・リラの姿です。
「………メアリーの話だと 確かこの辺りのはずだけど…」
蝋燭を手に何やら必死に探しているようです。
「………あったわ!!!」
真っ暗闇の倉庫の中に甲高いリラの声が響き渡りました。
その手には…
そう、あの美しい装飾が施された“魔法の鏡”がしっかりと握りしめられていました。
「…さぁ、鏡の精霊よ!私の声に答えておくれ!!」
鬼気迫るリラの声に応えるかのように眩く光り輝き始める手鏡…
「………おおっ!!!!」
その神々しい輝きに一瞬、顔をしかめるリラでしたが自分を優しく包み込む輝きに感動を抑えきれない様子です。
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