†魔法の鏡†

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『私は鏡に宿る ロゼッタの精霊… お前が清き心を持っているなら 願いをひとつ 叶えてあげましょう…』 「……言い伝えは 本当だったのね!」 思わず声を上げるリラ。 そして、間髪を入れず大声で叫ぶ。 「わ、私を… 魔法使いにして! どんな魔法も操れる 偉大な力を持つ 魔法使いに!!」 その時、リラは心の中で思っていました。 「何が願いをひとつよ!そんなの決めれる訳ないじゃない!でも、魔法使いになれればどんな願いも思いのままだわ!」 そして、リラの言葉に鏡の精霊はゆっくり答えました。 『……いいでしょう。 では、お前を 偉大なる魔女・ミハエラ の生まれ変わりに してあげましょう。』 ──偉大なる魔女・ミハエラとは、古えのロゼッタの国に実在した強大な魔力を誇った伝説の魔女…。 「……ミハエラ!! これで何もかも私の思い通りに!!」 不敵に微笑むリラを温かい光の衣が包み込んでいきます。 「こ…これがミハエラの力!信じられないぐらいの力を感じるわ!」 そう呟きながら、リラは ふと右手に握りしめた手鏡を覗き込んでみました。 「……………ッ!!」 一瞬にして凍りつくリラ…。 それもそのはず、何と鏡に映っていたのはシワクチャの皮膚に大きく垂れ下がった鼻を持つ醜い老婆の姿だったからです。 「こ、これが私!?」 愕然として言葉を失うリラの頭の中に語りかけるように聞こえてくる身の毛もよだつ恐ろしい声… 『……我が名は ミハエラ。永き眠りから目覚めし 偉大なる魔女の魂…。私の力を恐れ最果ての地に 我が魔力を封印した ロゼッタ王の子孫の血を 感じる… 貴様のようなものを 生かしては おけぬ… 我が苦しみと憎しみを 味わうが良い!!!!』 「……そ、そんな!! 私は… 何も……!! ギャーーーーーーーッッッ!!!!!」 ───次の日の朝 倉庫の中からどこの誰ともわからない不気味な老婆の死体が見つかりました。
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