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年は10歳…いや、10歳にも満たないだろう。
少女は向けられた銃にも気をとめず、可愛げに首を傾げた。
「…どうしたのかー?」
普通なら、警戒を解くべきだろうが…、
…誠一は構えたM4を下ろそうとはしなかった。
警戒を解けない理由は2つある。
一つ目、人気が全くなかった竹藪に、年端もいかない少女が一人で出歩く訳がない。
二つ目、殺気はなかったにしろ、気配なく誠一の背後から現れた。
…ただ者ではないな。
そう思った誠一は、油断なくM4を向けながら少女を見つめる。
そんな誠一を見つめ返しながら、少女はニッコリ笑った。
「…『人間』なのかー?」
「っ!?」
誠一は、一瞬耳を疑った。
『人間か?』。
まるで自分が『人間ではない』ような言い方。
さらに警戒心を強めた誠一は、M4のセーフティーを、『セミオート』から『フルオート』に切り替えた。
誠一が警戒していることに感づいたのか、少女は慌てたように両手を前に出した。
「だ、大丈夫なのだー。人間はもう食べないのだー。」
両手をブンブン振りながら、必死に弁解する少女。
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