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「着いたのだー。」
「…デカいな。」
ルーミアの横で、呆然と『永遠亭』を見上げる。
竹林と平行するように、左右に広がる塗り壁。
目前の入り口も、木製の大きな開き戸だ。
「…まるで平安時代の建物だ。世界遺産に登録するべきだな。」
思わず見とれてしまう。
「…セーイチー。はやく入るのだー。」
ルーミアが、門の前でちょいちょいと手を振る。
「はいはい。」
誠一はそう言いながら、歩き出す。
ルーミアは、先に扉を開くと中に入った。
ゴンッ
「っ!?」
嫌な音が響いた。
誠一は慌てて扉に駆け寄る。
「おい、大丈夫か?」
「…痛いのだー。」
頭を抑えて涙目なルーミアと、その横に転がる『たらい』。
…何があったか理解した誠一はため息をついた。
と、同時にヒョイと横にステップする。
…飛んできた吸盤付きの矢が、背後の扉に貼りつく。
「…歓迎されてるようだな。」
ニヤリと笑った誠一は、辺りを見回した。
…庭園のようだ。
「…そこか。」
足元の『たらい』を蹴り飛ばした。
宙を舞う『たらい』は、目前の木に向かって飛んでいった。
カーン
「痛てゐっ!?」
木の上から悲鳴が聞こえた。
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