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ぼんやりと 桜を見上げながら歩いていると
数メートル先に 人影が見えた
夜桜見物の人がいるのだろうと さほど気にもせず歩いて行く
その人影に近づいた時
私は息をのんだ
その人は 軍服を着ていた
そして 桜を見上げていた
まるで 愛しい人を見つめるように
そして その横顔は 驚くほど美しかった
私は 何かの撮影をしているのかと 辺りを見渡したが それらしい気配はなく
その人は1人でいるようだった
ただのコスプレ好きか 変質者か…
後者であった場合の事を考えて なるべく静かに通り過ぎようとした時
彼が こちらを振り向いた
思わず 立ち止まってしまう
横顔も美しかったが 正面から見る彼の顔は さらに美しかった
本当に 映画かドラマの中から出てきたようだった
普通に考えて こんな時間にこんな場所で こんな格好をしているのだから 怪しさ満点なのだが
何故か不思議と怖くなかった
ただただ 彼の美しさに 見入ってしまっていた
「すまないが…」
先に言葉を発したのは 彼だった
「すまないが ここは何処なのだろうか?」
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